細密画の面白さについて私は、日本の皆様が日本画を愛するよう、その伝統性を重んじると共に精緻な技巧に惹かれています。
同時に細密画において、色もまた見逃せない特徴のひとつです。これは私自身がつくります。色をつくるには、大変な時間がかかりますが、自然のものからつくられた鮮やかなこれらの色は劣化しにくく、絵画としての価値を長い時間保つことを可能とします。石や草花からつくられる自然の色は、例えば、赤であればガーネットやルビーから、緑はエメラルド、青はサファイア、水色はトルコ石、オレンジは珊瑚やトルマリンといったものから、また金や銀などによってもつくられています。筆は、リスの尾の毛でできた極細のものを用い、製作時間は、大きさや仕事の細かさによって変わりますが、1日あたり8時間の仕事としまして、長いもので3ヶ月ほどかかります。
さて、このインド細密画(ミニアチュール)は、インドにおける代表的な絵画で、15世紀頃から19世紀にかけて盛んに描かれました。 その画法は大まかに2つに分類することができます。ひとつはヒンドゥ文化圏で描かれた『ラージプト絵画』、そしてもうひとつがイスラム文化圏の『ムガール絵画』です。 |
『ラージプト絵画』は、寺院のレリ
ーフから壁画、細密画へと発展し
たため、宗教や神話、詩や物語を
題材に描かれました。 他方、『ム
ガール絵画』は、ムガール帝国の創始者・
バーブルがペルシャ・ミニアチュールを集め模写させたことに始まり、マハラジャの生活や肖像画などが、その主題として描かれています。
やがてこれら起源の異なる細密画は、長い時間の中、互いに影響を及ぼし合い、『ラージプト絵画』、『ムガール絵画』の区別は次第に薄れ各地に広まりました。しかし地方によるその表現手法の特色をもって、現在ではその土地の名前を冠し「ジャイプール派」や「ウダイプル派」などと呼ばれています。
私の故郷はジャイプールですから、その絵は「ジャイプール派」に分類されるのかもしれません。しかし、私は常に新しいモチーフを模索、伝統を基礎に新しい表現としての細密画を築いてゆきたいと考えています。
モハメッド・インサーフ・アリ・カーン・ゴーリ |